「ねえ。お兄ちゃん。シャボン玉ってね。」

空へと飛ぼうとする魂の一欠片なんだって。


シャボン玉


「バブル!ここにいたのか!皆探したんだぞ?」
「・・・お兄ちゃん・・・。」

メタル兄ちゃんが僕を水から抱え上げる。身長のわりに少し重い僕を支えるなんて・・・お兄ちゃんは力があるんだなって思った。
でも。僕は何でか皆に会いたくなかった。
嫌いだからじゃない。でも。会いたくない。
シャボンの中身は二酸化炭素。二酸化炭素は別に醜い訳でもないのに。シャボンが醜い訳でもないのに。
シャボンみたいな空っぽの醜い僕が、皆の前になんて、出たくない。

「行きたくない・・・。」
「・・・晩御飯が冷めるぞ。」
「でも・・・やだ・・・。」

変な所で頑固な僕の性格を知っている為かお兄ちゃんは何も言わなかった。僕を横に置いて。じっと星を見ていた。
お兄ちゃんが見つけたって連絡して。皆帰ってったはずだもん。今頃皆お兄ちゃんの言いつけ守ってご飯食べてる。
お兄ちゃんだけでも食べに行けば良いのに。

「バブル。」
「何・・・?」
「何か嫌な事でも、辛い事でもあったら、誰でも良いから言うんだぞ。」
「・・・どうしてそんな事言うの。」
「何でかな。」
「別に・・・何も無いよ。」
「そうか。」

また嘘をついた。嫌な事も辛い事も有る。でも・・・そんな事は言えない。
お父さんに悲しい顔をさせちゃう。

―――ねぇ。どうして僕は生まれてきたの。どうして・・・こんな世の中で生きていかなくちゃならないの。

ほら。お父さんを悲しませる。お父さんの事が大好きだから言えない。それが一層嫌な事。
お父さんが悲しむから言えない。言いたいのに言えない。自分で自分を隠して嘘をつく。
自己嫌悪。

「あのね。・・・お兄ちゃん・・・。聞いてくれる?」
「ああ。」
「ねえ。お兄ちゃん。シャボン玉ってね。空へと飛ぼうとする魂の一欠片なんだって。」
「・・・。そうなのか?」

また嘘をついた。所詮シャボン玉なんて二酸化炭素の塊。

「そうか。だったらバブルは本当に優しい良い子だな。」
「!?」

どうしてそんな事を言うの。嘘で作り固めてる。こんな嘘吐きが優しい子な、ましてや良い子なわけない。

「どうして?」
「バブルはたくさんの魂を空へと飛ばす手伝いをしてるんだ。」
「・・・。」
「なっ・・・何も泣かなくても良いだろ・・・!?どうしたんだよ・・・!?」

そう?泣いてるの?何でだろう。でもなんか息が詰まるから多分泣いてる。

「お・・・兄ちゃ・・・ん・・・。」
「よしよし。」

お兄ちゃんが頭を撫でてくれる。それだけでも少し落ち着いてくるから不思議だ。



「・・・落ち着いたか?」
「・・・うん。ごめんねお兄ちゃん。ご飯冷めちゃってるよね・・・。」
「大丈夫だろ。温め直せば良いよ。」
「・・・うん。」
「そろそろ・・・帰るか?」
「・・・うん。」



作った言葉が嘘だったとしても。それでも掌は温かかった。
意味に答えがなくても。それでも掌は温かかった。






―――シャボン玉が嘘だったとしても。それでも心が温かかった。






FIN

後書き。
はい。メタルよりバブルの方が書きやすかったです。思考が私にそっくりだもんなぁ。
もちろんシャボン玉が魂うんぬんはでっち上げです。(←言い切っちゃったよこの人;;)
まあシャボン玉(唱歌)のアレは魂を象っているからあながちでっち上げとは言えませんけどね・・・。

では下にNG集がありますがシリアスムードぶち壊しなのでこの雰囲気のまま終わらせたい方はブラウザバックで。
ぶち壊しどんと来いな方はスクロールしてください。


































おまけ。NG集(・・・と言う名のシェリスの打ち間違い)
メタルにいつあんが僕を(略/早っ!)
「いく」(逆じゃん。)
シャボンばだ(何をどう間違えたww)
良い粉分けない。(変換ミス!)
そろそろ・・・孵るか?(変換ミス!)
意味に答えが無くてみ。意味に答えが無くてv(何か殴りたいw)

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